2026/10/30業界コラム

数字で見る配車アプリの現実・タクシー転職で知っておきたいこと

数字で見る配車アプリの現実・タクシー転職で知っておきたいこと

「最近はタクシーもアプリで呼ぶ時代」「アプリを使えば稼ぎやすい」

そんな話を聞いたことはありませんか?

乗客としてタクシー配車アプリを利用したことがある方も多いでしょう。スマートフォンから簡単にタクシーを呼べる配車アプリは、乗客にとって便利なだけでなく、タクシー乗務員にとっても重要な営業手段になっています。

では、実際にどれほど普及しているのでしょうか?
また、アプリを使えば本当に稼ぎやすくなるのでしょうか?

今回は、配車アプリの利用状況や東京都内のデータをもとに、タクシー乗務員への転職を考えている方が知っておきたい「配車アプリの現実」を解説します。

配車アプリのデータを見ていく

タクシー配車アプリはどれくらい普及している?

配車アプリの普及は、ダウンロード数や利用経験率から確認できます。

ICT総研が2024年に実施した調査では、アンケート回答者4,355人のうち、直近1年間にタクシー配車アプリを利用した人は889人。利用経験率は20.4%でした。2021年の14.8%から5.6ポイント上昇しています。

また、主要アプリの累計ダウンロード数も増加しています。

  • GO:4,000万ダウンロード(2026年8月発表)
  • DiDi:1,200万ダウンロード(2026年7月時点)
  • S.RIDE:500万ダウンロード(2026年2月発表)

いずれも国内の累計ダウンロード数です。現在利用している人数や、東京都内だけの利用者数を示す数字ではないことには注意が必要です。

それでも、配車アプリが広く普及し、タクシーを利用する際の選択肢として定着していることがわかります。

出典:ICT総研|2024年 タクシー配車アプリ・ライドシェア利用動向調査
   GO株式会社 公式プレスリリース
   DiDiモビリティジャパン 公式プレスリリース
   S.RIDE 公式プレスリリース

東京都内では何割がアプリで乗車している?

東京都内では、タクシーの乗車方法はどのような割合になっているのでしょうか。

国土交通省の資料によると、東京都の特別区・武蔵野市・三鷹市では、乗車方法の割合は次のとおりです。

乗車方法割合
流し営業70.72%
アプリ配車23.40%
無線配車5.88%

アプリ配車は全体の23.40%。およそ4回に1回がアプリ経由の乗車という計算です。

出典:国土交通省(2024年10月)

データから推測できること

それぞれのダウンロード数から推測できること

全国の累計ダウンロード数と東京都の人口比率で単純に計算すると、GOは約466万ダウンロード、DiDiは約140万ダウンロード、S.RIDEは約58万ダウンロードに相当します。

これらを合計すると約664万ダウンロードとなり、東京都の人口を約1,430万人とした場合、人口の約46%に相当する規模です。

もちろん、アプリの利用者が地域ごとに均等に分布しているわけではなく、複数のアプリを併用している人や、現在は利用していない人も含まれるため、実際の利用者数を示すものではありません。

それでも、配車アプリが一部の人だけのものではなく、タクシーを利用する際の身近な選択肢として広がっていることは、この数字からも推測できます。

配車割合から推測できること

東京都内の年間輸送回数約2億1,412万回に、このアプリ配車比率を当てはめると、年間のアプリ経由の乗車は約5,010万回になります。

これを車両数約2万7,231台をもとに換算すると、1台あたり1日約5.9回のアプリ経由の乗車に相当します。

ただし、すべてのタクシーが毎日稼働しているわけではありませんし、アプリ配車を受けない乗務員や、アプリ配車が少ないエリアを中心に営業する乗務員もいます。
そのため、アプリを積極的に活用する乗務員には、1日約5.9回を上回る乗車機会があると考えられます。

配車アプリは、今やタクシー乗務員にとって重要な営業手段の一つです。

出典:国土交通省(2024年10月)
  東京ハイヤー・タクシー協会 データライブラリー

ドライバー側のデータ

配車アプリの大きなメリットは、乗客を探す手段が増えることです。

流し営業では、乗客がいそうな場所を考えながら走行する必要があります。駅などで待機する場合も、乗客が現れるまで時間がかかることがあります。

一方、配車アプリでは、乗客からの依頼を受けて迎車できます。乗客を探すために走り続けたり、乗り場で待ったりする以外にも、乗車機会を得る方法が増えるのです。

国土交通省の資料では、アプリ配車をまったく受けていない乗務員と比べ、アプリ配車の割合が約40%の乗務員は、実車率が約15ポイント高いという関係が示されています。

実車率とは、走行距離のうち、お客様を乗せて走った距離の割合です。実車率が高いほど、空車で走る距離を抑えられていることになります。

配車アプリを活用して乗車機会を増やすことが、効率的な営業につながることがデータから読み取れます。

出典:国土交通省|タクシー事業における配車アプリの普及による運送の効率化

アプリを使うだけで売上は伸びる?

前述したとおり、配車アプリは便利な営業手段ですが、アプリを使うだけで高い売上を実現できるとは限らないのも事実です。

売上を伸ばすには、乗車回数を増やすだけでなく、どこで営業するか、どの時間帯に動くか、次の乗客をどのように探すかといった判断も重要です。

また、GOには「OJTモード」と「迎車モード」という、配車の受け方を切り替える機能があります。

どちらもアプリ経由の配車に専念するためのモードで、流し営業や手上げのお客様を探す必要がなくなるため、配車対応に集中できることや、安全運転に専念しやすくなることがメリットです。

ただし、同じアプリを利用していても、営業するエリアや時間帯によって依頼の入りやすさは異なります。迎車先までの距離や、乗客を降ろした後にどこで営業するかによっても、その後の営業効率は変わります。

また、アプリからの依頼だけを待つのではなく、流し営業や駅での待機など、複数の営業方法を使い分けることも大切です。

配車アプリは乗車機会を増やすための手段であり、売上を伸ばすには営業の工夫も必要です。

アプリを活用しながら、稼ぐ力を身につけよう

配車アプリは、タクシー乗務員にとって心強い営業手段です。

以前は、流し営業や駅などでの付け待ちを中心に、お客様を探す必要がありました。しかし現在は、配車アプリを活用することで、経験や勘、長年培った営業ノウハウだけに頼らず、お客様を見つけることができます。そのため、営業経験の少ない未経験者でも乗車機会を得やすく、売上につなげる助けになります。

また、走行中に手上げのお客様を探す必要がなくなるため、前方や周囲の安全確認に集中しやすくなるなど、安全運行の面でもメリットがあります。

もちろん、長く安定して稼いでいくためには、アプリに頼るだけでなく、営業エリアや時間帯の特徴を理解し、状況に応じて営業方法を使い分ける力も必要です。

最初からすべてを身につける必要はありません。まずは配車アプリを活用して乗車経験を積み、少しずつ地域の特徴や営業のコツを覚えていきましょう。

アプリを活用して乗車機会を増やしながら、安全運行を心がけ、経験と知識を積み重ねていく。 それが、未経験からでも着実に稼げる乗務員を目指すための第一歩です。

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